IE9ピン留め


「グラスホッパー」伊坂幸太郎
妻を殺され、その復讐を果たそうとする男(鈴木)が「復讐を横取りされる」ところから始まる。そこに自殺専門の鯨、ナイフ使いの蝉という二人の殺し屋が登場し、三人の視点でそれぞれ語られ物語が進んでいく。この三人が徐々に絡み合い、ラストに向かってどんどん収束していくスピード感といったらもう、、、

この作品には他にも様々な殺し屋(押し屋、毒、拷問専門屋など)が登場して、一見物騒な雰囲気を漂わせがちなんだけど、明らかなハードボイルドになっていないところなんかは、やっぱり伊坂さん特有のユニークなキャラの立て方や、いたるところにちりばめられたユーモア、皮肉の利いた書きまわしなんかが大きいのかも

全体的にウィットに富んだ面白さが溢れていて、いい味出してます(偉そうだな…)

他の作品と比べるとあまりにも多く人が死んだり、非現実過ぎる登場人物達に感情移入しにくいところは正直あるかもしれないけど、文章の軽快さはもちろん、会話の抜群のうまさだったりが読み易さに繋がっているのかサクサク読めるし、エンターテインメント作品としてすごく面白かった

それとラストの一行ね。鳥肌たちました

興味ある方は是非♪

# by amecagarine | 2012-01-28 21:58 | いとうの一冊 | Comments(0)

「千年樹」荻原浩
とある郊外に、千年もの間生き続けた巨大なくすの木。萌芽から伐採されるまでの長い間、その脇で繰り返される人間ドラマが時代を超えて交錯する。全8話で構成される連作短編集

どの話も過去と現在を織り交ぜた構成になっていて、二つの時代の話が絶妙な具合で絡み合う。しっかりとした構成や伏線の張り方に思わず唸ってしまう程なんだが、内容はとても悲しくて重い。いつの時代でも繰り返される、人と人との間で繰り広げられる悲しい争いに、なんとも言えないやり切れなさを感じた

ユーモラスな要素は全くといって無いに等しいし、悲劇的な出来事ばかりでとても切ないんだけど、小説として「おもしろい」からこそ、結果的にぐいぐい引き込まれてしまう

どの話も情景描写が本当に素晴らしくて、生意気な言い方だけど完成度が高いんだと思う。やっぱりこの人の書く物語にはめっぽうハマる。以前読んだ「明日の記憶」も良かった

個人的には「バァバの石段」(結婚する前の祖母が書いた恋文を見つける孫娘のお話)がめちゃめちゃ良かった。目頭が熱くなった(ほぼ泣いてたけど)

興味ある方は是非♪

# by amecagarine | 2012-01-21 21:01 | いとうの一冊 | Comments(0)

「月曜の朝、ぼくたちは」井伏洋介
大学で同じゼミだった7人の同級生。仲間のひとりが開店したレストランで、7年振りの再会を果たす。かつてとは違う顔を見せる仲間たち。しかし一人の死をきっかけに再び彼らの人生が交錯する。30歳を目前に人生の岐路に立ち、痛みを抱えもがきながらもなお、前に踏み出す若者たちの姿を切なく力強く描いた青春小説(あらすじより)

それぞれが仕事で悩みを抱え、久しぶりに会うかつての仲間たちに対し、思わず抱いてしまう焦りや苛立ち、優越感など、複雑な若者たちの心境を等身大に描く

なんといってもまず読み易い
登場人物たちのキャラクターがものすごく自然体というか、ある意味どこにでもいそうな設定にしてあるのが物語にリアリティーを持たせていて、そう感じさせるのかもしれない

向かう先にあるものが必ずしも明るい未来じゃないと分かっていながらも、物語の最後の方で主人公が見せるある意味吹っ切れたような決断にぐっときた

こういった内容の本って正直多いし僕自身敬遠しがちなんだけど、古本屋でタイトルがなんとなく気になり購入。何でもそうだけど、やっぱり縁って大切なんだなと感じた一冊

興味ある方は是非♪

# by amecagarine | 2012-01-14 22:55 | いとうの一冊 | Comments(0)

「迷宮」清水義範
一人暮らしの24歳OLが自宅マンションで殺害された。猟奇的な犯行に世間は震撼する。この殺人をめぐる週刊誌報道、取材記録、供述調書、手記、手紙、そしてモデル小説等を、治療師と称する男がひとりの記憶喪失の男に「治療」として読ませていく。果たして彼は記憶を取り戻せるのか?そして事件の真相とは!?(あらすじより)

どこに結末が向かっているのか、読み進めていくにつれどんどん分からなくなり、自然と作者の思惑通り迷宮に迷い込んでいってしまう。ラストが気になる故に読み進むスピードも落とせず、でまた謎が出てきて更に謎が深まるという、まさに迷路のような世界観

治療師の本当の目的や記憶喪失の男の正体だったり、これらが物語全体の謎と絡まりあって興味がそそられる。事件の真相を八つの異なる文体を用いて、様々な角度から読み手に提示してくる作風もおもしろかった

読み手によって作品の感想はもちろん異なるとは思うけれど、ラストまで読んでみて、読後のスッキリ感はもしかしたらあまりないのかもしれない。でもその分伏線の張り方や丁寧な筆致などのおかげもあるのか、途中で飽きることなく最後まで一気に楽しめる

ミステリーという括りだけど、別のジャンルのように感じた。ミステリーと思わないで読んだ方が個人的には楽しめるのかなと思います

興味ある方は是非♪

# by amecagarine | 2012-01-07 22:32 | いとうの一冊 | Comments(0)

「受け月」伊集院静
人が他人のために祈る時、どうすれば通じるのだろうか。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「切子皿」など大人のための小説七篇(あらすじより)

野球をテーマにした七篇の短編集
でも決して野球がメインではなく、それを通して描かれる人間関係や、感情の変化、心の動きなどにどちらかというと重点を置いているような作品

人が本当に輝ける期間というのはほんの一瞬で、その後の人生においての大半は挫折だったり苦しい期間だったり…
そういった現在の自分がふとしたタイミングで昔の栄光や、輝いていた時代の象徴でもある野球のことを思い出し、大きな光とまではいかなくとも、かすかな希望の光をそれぞれの主人公が再度見いだしていく

短編という制限の中でも、しっかりとメッセージ性があってすごくうまいし、いわゆる狙った感じではなくどれも泣かせる

あまり詳しくはないけど、全体のテイストとしては純文学的なのかも

できれば静かな場所で、ゆったりと読んでもらいたい作品です
第107回の直木賞受賞作

興味ある方は是非♪


# by amecagarine | 2011-12-31 20:36 | いとうの一冊 | Comments(0)
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acari伊藤祐介     愛知県生まれのO型 acariのベーシスト   本好き

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